野や山は新緑に彩られ、夏の気配が感じられるようになる頃。青々とした緑、さわやかな風、気持ちのいい五月晴れの季節です。
八十八夜もすぎ、したたり落ちるような鮮やかな緑も日ごとにその色を濃くしていきます。大地を渡る爽やかな風が花々を揺らし、遠くへと綿毛を運んでいってくれます。いよいよ夏の扉が開かれる時期です。
古代中国から伝わり、日本で根付いた農事暦。一年を二十四等分し、その季節ごとにふさわしい名前を付けた自然の暦です。
人々は、植物や生き物、自然の微妙な変化を感じ取り、農業をはじめ暮らしに役立てて来ました。時には、天災などの危険を避ける上でも重要なものでした。自然が営む再生循環と季節の移ろいをからだ全体で感じ、それを読み解いていく。まさに自然と共生してきた証しともいえます。