太陽が真東から昇り、真西に沈む日のこと。昼と夜の時間が同じ長さになる、二十四節気でも大きな節目の日です。
夜が明ける少し前、まだ暗い時分の事を春暁というそうです。また曙は、暁より少し遅い時間帯で、ほのぼのと夜が明けようとする頃をさすそうです。まさに「枕草子」の一節が頭に浮かんでくるようです。
去る3月18日、関東地方で春一番が吹き荒れました。昨年よりも17日遅れだとか。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われる通り、だんだんと過しやすい季節になっていきます。
白梅が咲き、紅梅、そして桃の花の咲く時季。その昔、花が咲くことを「笑う」と表したそうです。その情感が今でも何となく分かる様な気がします。
間もなくコブシにも花が着く頃。コブシの花が咲いたら田打ちを始め、稲の種蒔きなどの農作業をおこなう目安になっていたそうです。それ故「田打ち桜」と言う別名もあるとか。言葉の節々にも、色目が感じられてくる頃です。
古代中国から伝わり、日本で根付いた農事暦。一年を二十四等分し、その季節ごとにふさわしい名前を付けた自然の暦です。
人々は、植物や生き物、自然の微妙な変化を感じ取り、農業をはじめ暮らしに役立てて来ました。時には、天災などの危険を避ける上でも重要なものでした。自然が営む再生循環と季節の移ろいをからだ全体で感じ、それを読み解いていく。まさに自然と共生してきた証しともいえます。