野や山は新緑に彩られ、夏の気配が感じられるようになる頃。青々とした緑、さわやかな風、気持ちのいい五月晴れの季節です。
ブルーやグリーンのキャンバスには花々が描かれ、大地からは甘い香りが運ばれてきます。いよいよ元気一杯の若夏が立ち上がりました。
皐月という呼び名は、もともと耕作を意味する古語の「さ」から、耕作月で皐月と呼ばれるようになったそうです。各地では、田んぼに水が張られ、いよいよ田植えの時期が始まります。
5月5日は、新緑がよく似合う端午の節句。「端」は物のはし、つまり「始り」という意味、「午」は「五」に通じることから、元々「端午」は月の始めの五の日のことだったそうです。その中でも、数字が重なる5月5日を「端午の節句」と呼ぶようになったとか。
古代中国から伝わり、日本で根付いた農事暦。一年を二十四等分し、その季節ごとにふさわしい名前を付けた自然の暦です。
人々は、植物や生き物、自然の微妙な変化を感じ取り、農業をはじめ暮らしに役立てて来ました。時には、天災などの危険を避ける上でも重要なものでした。自然が営む再生循環と季節の移ろいをからだ全体で感じ、それを読み解いていく。まさに自然と共生してきた証しともいえます。