秋草が揺れ、虫の音が高まる頃。朝早く草に降りた露の雫が、小さな水晶玉の様に輝いています。
どんよりとした空が続いた8月。そしてやっと青空が戻った9月、見上げるともうそこには秋の空が広がっていました。葉っぱを赤く染めるもの、この数年で初めて目にする銀杏の実、まるで時計の針が少し早く進んだようです。少し脅かした後は、どこかでまたその刻みを元に戻してくれることでしょう。古代中国から伝わり、日本で根付いた農事暦。一年を二十四等分し、その季節ごとにふさわしい名前を付けた自然の暦です。
人々は、植物や生き物、自然の微妙な変化を感じ取り、農業をはじめ暮らしに役立てて来ました。時には、天災などの危険を避ける上でも重要なものでした。自然が営む再生循環と季節の移ろいをからだ全体で感じ、それを読み解いていく。まさに自然と共生してきた証しともいえます。