暑さもようやく峠を越え和らぎ始める頃。綿の花や萩の花が咲き、穀物の実りの季節を迎えます。
草むらでは、何処からともなく虫の音が聞こえてきます。ゆっくりと夏が去って行く足音のように感じられます。
朝夕しだいに冷気が加わり、秋の気配が漂い出したMURAYAMA。いよいよ蝉たちも、力の限りその声をふりしぼって鳴いています。
ねこじゃらしの名前で親しまれているエノコロ草。エノコロとは子犬のしっぽに似ている所から、犬っころが転じてついた名前だそうです。
芒種の頃に白い花をつけていたヤマボウシの実(上)が、真っ赤に色づき始めていました。コブシの実(下)もふくらみ、大地に秋の趣がひろがっています。
空を見上げると彩雲が架かっていました。季節は間もなく立春から数えて二百十日目。台風がやって来る日とされています。今年は9月1日がそれにあたります。
古代中国から伝わり、日本で根付いた農事暦。一年を二十四等分し、その季節ごとにふさわしい名前を付けた自然の暦です。
人々は、植物や生き物、自然の微妙な変化を感じ取り、農業をはじめ暮らしに役立てて来ました。時には、天災などの危険を避ける上でも重要なものでした。自然が営む再生循環と季節の移ろいをからだ全体で感じ、それを読み解いていく。まさに自然と共生してきた証しともいえます。