冬のあいだ土の中に巣ごもりしていた虫たちが目ざめ活動を始める。三寒四温を繰り返しながら、着実に春の暖かさが感じられるようになる。柳の若芽が芽吹き、ふきのとうの花が咲く頃。
落ち葉の陰からふきのとうが顔をのぞかせていました。春の訪れをいち早く知らせてくれる山菜です。間もなく地中の虫たちも目覚める頃でしょう。
コブシの蕾です。3月末には白色の大きな花が咲きます。コブシの開花を目安に農作業を始める地方も多く、「田打ち桜」「種まきザクラ」等とも呼ばれています。
わたぼうしが風の訪れを待っていました。
春一番や東風を始め、雲雀東風 (ひばりごち *1) や涅槃西風 (ねはんにし *2) など、春は多くの風を感じる季節かもしれません。
*1 雲雀東風 (ひばりごち) : 雲雀が空で一日中さえずっているような天候の時に吹く風
*2 涅槃西風 (ねはんにし) : 旧暦2月15日の釈尊入滅の頃に吹く西風
古代中国から伝わり、日本で根付いた農事暦。一年を二十四等分し、その季節ごとにふさわしい名前を付けた自然の暦です。
人々は、植物や生き物、自然の微妙な変化を感じ取り、農業をはじめ暮らしに役立てて来ました。時には、天災などの危険を避ける上でも重要なものでした。自然が営む再生循環と季節の移ろいをからだ全体で感じ、それを読み解いていく。まさに自然と共生してきた証しともいえます。