穀雨とは、穀物の成長を助ける雨のこと。そんな春のやわらかい雨が多く降る頃です。
春の雨は作物にとって恵みの雨です。それだけに色々な雨の呼び名があります。穀物を育む雨を瑞雨(ずいう)、草木を潤す雨を甘雨(かんう)、春の長雨を春霖(しゅんりん)、さらには菜種梅雨とさまざまです。
田畑では、キラキラ光る日差しを浴びて種まきが始まります。野も山も若々しい緑に覆われ、日の光に輝いています。
大地からは、多くの若芽が顔を覗かせています。まさに、今が旬という響きがお似合いです。やがて立春から数えた八十八夜を過ぎれば、もう夏の訪れです。
古代中国から伝わり、日本で根付いた農事暦。一年を二十四等分し、その季節ごとにふさわしい名前を付けた自然の暦です。
人々は、植物や生き物、自然の微妙な変化を感じ取り、農業をはじめ暮らしに役立てて来ました。時には、天災などの危険を避ける上でも重要なものでした。自然が営む再生循環と季節の移ろいをからだ全体で感じ、それを読み解いていく。まさに自然と共生してきた証しともいえます。