蟄は引きこもること、そして啓は開くという意味。地中で冬ごもりをしていた虫たちが、いよいよ外へ出てくる時季です。
関東地方でも3月1日に春一番が吹きました。そして一雨ごとに寒さも弱まり、春に近づいている事が実感されます。日差しも徐々に暖かくなり、草木もその成長に勢いを増してきています。
霧は秋の季語として使い、春に出る霧を霞(かすみ)と呼び、さらに夜の霞を朧(おぼろ)とよぶそうです。季節や時間によって、最もふさわしい呼び名で表していたのですね。
山々では雑木林の雪も溶け始め、小鳥も樹々も大きく深呼吸している頃です。私たちも、久々にほっこりとした土の臭いや感触を味わいたくなる時候です。
古代中国から伝わり、日本で根付いた農事暦。一年を二十四等分し、その季節ごとにふさわしい名前を付けた自然の暦です。
人々は、植物や生き物、自然の微妙な変化を感じ取り、農業をはじめ暮らしに役立てて来ました。時には、天災などの危険を避ける上でも重要なものでした。自然が営む再生循環と季節の移ろいをからだ全体で感じ、それを読み解いていく。まさに自然と共生してきた証しともいえます。