春のお彼岸のちょうど中日。
寒さもすっかりやわらぎ、昼と夜の長さが等しくなる頃。これからは、昼間の時間が少しずつ長くなっていきます。 樹々が一斉に芽吹きを迎え、野山もほんのりと赤みを帯びてきます。
春雨が降った翌朝、うっすらと霜が降りていました。しかし、お昼前にはアスファルトからは陽炎がたち、水蒸気となって空に還っていきました。
どこからともなく、甘やかな香りが漂ってきました。
寒さから解きほどかれる様に、五感が開かれていくのを実感するひと時です。
鳥たちはさえずりながら巣づくりの準備に大忙し。
春の陽気に浮き立つ野や山や里を、西の空から優しく照らします。
古代中国から伝わり、日本で根付いた農事暦。一年を二十四等分し、その季節ごとにふさわしい名前を付けた自然の暦です。
人々は、植物や生き物、自然の微妙な変化を感じ取り、農業をはじめ暮らしに役立てて来ました。時には、天災などの危険を避ける上でも重要なものでした。自然が営む再生循環と季節の移ろいをからだ全体で感じ、それを読み解いていく。まさに自然と共生してきた証しともいえます。