万物が発生し、清新の気が満ちる時期。
草木の芽はふっくらと育ち、百花咲き競う季節。昔の人が「時の花」に思いを寄せて来た事を実感する時候です。
MURAYAMAも住人の入れ替わりの時期。
南からやって来る鳥たちとは逆に、冬鳥たちは北へと飛び立つ頃を迎えました。水場にも、また新たな賑わいがもどってきました。
「三味」とは酸味、甘味、苦味。なかでも苦味はなんと言っても春の味。つくし、ふきのとう、たらの芽、こごみなどの精の強い山菜には、冬の間に溜まった老廃物を体外に排出する作用があるとされます。
昔の人は農作業のかたわら、腰休めにふと伸び上がった際、遠くの桜をよくめでたそうです。田畑のはるか先に見える林に咲く山桜が、優しく微笑んでいる様に見えたのでしょう。
古代中国から伝わり、日本で根付いた農事暦。一年を二十四等分し、その季節ごとにふさわしい名前を付けた自然の暦です。
人々は、植物や生き物、自然の微妙な変化を感じ取り、農業をはじめ暮らしに役立てて来ました。時には、天災などの危険を避ける上でも重要なものでした。自然が営む再生循環と季節の移ろいをからだ全体で感じ、それを読み解いていく。まさに自然と共生してきた証しともいえます。