寒露とは、晩秋から初冬にかけての霜になりそうな冷たい露のことを指します。空気が澄み、夜空にはさえざえと月が明るむ季節です。
ようやく暑さも遠のき、どこからともなく金木犀の甘い香りがしてきます。日も傾いたかなと思うと空が茜色に染まり、あっという間に沈んでしまいます。そんな秋の夕暮れにどこか切ない思いを感じつつ、人は月を眺めながら季節の移ろいを感じ入るのでしょうか?古代中国から伝わり、日本で根付いた農事暦。一年を二十四等分し、その季節ごとにふさわしい名前を付けた自然の暦です。
人々は、植物や生き物、自然の微妙な変化を感じ取り、農業をはじめ暮らしに役立てて来ました。時には、天災などの危険を避ける上でも重要なものでした。自然が営む再生循環と季節の移ろいをからだ全体で感じ、それを読み解いていく。まさに自然と共生してきた証しともいえます。